何年か前から言われているが、全世界的にヴァイナルレコードブームらしい。
しかしそれは一般層の音楽好きが、視聴用にヴァイナルを買ってるという感じではないのだろうか。
DJでヴァイナル人口が増えてるかというと、そうでもない気がする。
ただ、僕はぜひヴァイナルでのDJに挑戦してもらいたいと思っている。
別にヴァイナル至上主義でもないし、僕自身CDJも使うハイブリッドなので、どちらの良さも分かっているつもりだ。
ここで、ヴァイナルDJのメリット、デメリットを、個人的意見として記そうと思う。
まず、デメリットは
1、ピッチ合わせが難しい。
PCやCDJのようにBPMが表示されないので、耳だけを頼りに音を合わせていく事になる。
僕も若手のときはピッチ合わせが完璧に出来るまで3ヶ月も掛かってしまった。コツをつかめば簡単。
2、購入出来る場所が限られている、しかも売り切れで入手出来ない事も多々ある。
売り切れという概念はデジタル配信にはないが、ヴァイナルで過去の音源を手に入れるのは非常に難しい。
3、新譜は値段が高い。
最近の相場だと12インチEPで1,500円程度。(2 or 3 or 4曲入り)
4、とにかく重い、場所を取る。
場所問題は、東京の住宅事情では死活問題。ただジャンルを限定して買えばそこまで増えない。
5、家でヴァイナルのみでDJするには、ターンテーブル2台とミキサーが必要。
確かにある程度のスペースが必要だが、ヴァイナルの収納BOXの上に設置するなどして、インテリアとしても映えるDJブースにしてしまうのも良いのでは。
次にメリットは
1、音が良い。
もうこれに尽きる。CDなどのデジタル音源は人間の耳に聞こえない範囲の音域をカットしている。
しかしその人間の耳には聞こえないはずの音域が、空間の広がり感だったり、体で感じる音としてヴァイナルは再生出来てるらしい。
2、慣れてくると感覚的に操れる、音を直接触れる感覚。
実際に回る盤を操作するので、全ての操作が感覚的でプレイしていて楽しい。
3、針により音が変わる。
針の種類によって、もっと低音を強調する、解像度を上げるなど、出音に個性を付与する事が出来る。
これはCDJでは絶対に出来ない。
4、形あるモノとして所有する喜びがある。
今の時代、ヴァイナルは貴重なのでヴァイナルリリースオンリーなどのレアな音源を所有してるという優越感がある。
ジャケも大きくてアートとしても良い。
5、音源の使い捨て感が無い。
デジタル音源は、形が無いが故に仕方が無いとは思う。ヴァイナルレコード盤は何度も繰り返し聴いたりして曲に愛着がわく。
6、プレイしている時の没入感。
音だけに集中する感覚、デジタル波形などの余計な情報も無く、ピッチ合わせは音だけを頼りに行うので余計に没入感が高い。
とまあ色々とメリット、デメリットをあげてみたが、なぜヴァイナルでDJしてるのか?と問われると、プレイしていて楽しいからと答える。
感覚的な操作や、音に集中できる感じもプレイの楽しさに繋がる。
少し大げさだが、ヴァイナルでのDJは禅のこころがあるように思えてならない。
頭で考える雑念は断ち切って、ただひたすら音に専念する。
視覚情報など余計なものをなくして本質である音と向き合う。
音だけを頼りに、耳に全神経を集中させてピッチ合わせをしなければならないのも、音により深く没入することに繋がる。
この感覚はヴァイナルでDJやってる人にしか分からない感覚だと思う。
安易にDJ出来てしまうこの時代に、他との差別化の為にもヴァイナルでDJするというのはストイックでかっこいいと思うので、僕はぜひヴァイナルでのDJをおすすめしたい。
もちろんヴァイナルオンリーでなくとも、CDJと併用するハイブリッドなDJというのも良いと思う。