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レコード針

先日、レコード針のカートリッジを買い替えにいった。

店で使っているものだ。どうやら壊されたらしい。

 

うちのお店は、以前はレコード針は持ち込みのみとしていたが、テクニクスSL-1200MK3Dだった時、針を付けずにいるとターンテーブル側の接続部分が酸化しやすいということが分かり、それからは付けっぱなしにしていて、PLX-1000に替えた現在ではレコードでプレイする人にはそのまま使ってもらっている。

 

自分はレコードでDJするときは、自分の針を持っていくのが当たり前だと思っていて、今でも必ず持ち歩いているのだが、確かに最近は箱で常設の針が付いていることが増えて来ている。

VENTはオルトフォンのゴールドが付いているし、青山ゼロも何やらこだわりの針が付いている。

 

ありがたく使わせて頂く場合もあるが、常設の針は調子が悪いときもあり、それこそ針が摩耗していると、音も悪く、自分の盤を痛めたり、針飛びしたりしてしまう。

 

なので、常設の針がある場合でも、必ず自分の針を持ってこなくては、いざトラブったときに対応出来ない。

針の調子が悪いというのは、今プレイしているDJしか分からないし、すぐに機材スタッフを呼んでも替えの針は無い場合も多く、何より次のレコードが繋げないので無音状態にしてしまう事になる。

僕は針に関して調子が悪いというのは、箱には一切責任がないと思っている。

なぜなら針は、本来自分が持ってくるべきものだから。

 

一度、お店の針が盤をスライドしてしまう状態になってしまい、針を交換してくれと訴えてくるDJがいた。

実際見てみるとなんて事は無い、針に埃がびっしり付いており、それで針がレコードの溝をトレースできずスライドしてしまっていたのだ。

埃を取れば問題なくプレイ出来た。

 

そんなことも分からないのかと思ったが、若いDJだったのでしょうがないか、とも思った。

だが、自分の針を持って来ておけば、調子が悪くなった時点で自分の針に付け替えるだけである。

 

実際、針が折れてしまうことも極まれにあるし、替えがなければDJができない。

自分の針を持ってこない、そんな大きなリスクがあることを僕は出来ない。

 

レコード針のカートリッジを買いにいったお店で、癖の強い店主に

「草野球と同じだよ、試合すんのにバットとグローブ持ってこないなんて素手で野球やるのと一緒、そんなやつは素手でDJやらせればいい」と、半ば興奮気味に早口でまくしたてられた。

なるほどうまいこと言うな、なんて思いながら実際素手でDJってどうやるんだ?としばし考えてしまった。

 

DJにとってヘッドホンと針は、頼りになる相棒だ。

どちらも無ければDJできない。

針にも、そのDJの好みが反映されるし、出音も違う。

 

レコードDJを自負するなら、必ず自分の針を持参し、針にも強いこだわりを持ってほしいところだ。