今まで告知しかしてなかったので、何か書いていこうと思います。
4/28 VENTにて
まずはVENTについて、VENTは表参道駅の近くにあるスペース。
スピーカーの鳴りも素晴らしいが、ルームアコースティックが特に素晴らしいように思う。
ステージが広く余裕があり、そのステージに合わせてVJの映像が融合していく。
とてもCOOLな箱だ、客層も良い。
この日の僕はゲストDJ Drumsellの次、クロージングDJを任されていた。
Drumsellが予想通りハードな重厚テクノで、前回のA.Mochiさんからの流れを彷彿とさせた。
ヨーロッパではDJの交代時に一度音を止めるのが一般的になってると、主催のDJ SAIMURAさんに言われ、DJブースも2つ用意してあり、Drumsellとは別のブースだったこともあり、素直に一度音を止める方の選択をした。
(英語でDrumsellとコミュニケーションが取れれば、そのまま繋ぐ選択肢もあったかもしれない)
普段レコードでDJしているので、音さえあれば別のブースであれ問題なく繋いでいく事はできる。
前回のDistant Echoesの時は無理言って、A.MochiさんのLIVE SETからスムーズに繋いでいった。
今回も一応繋ぐことも考え、ピッチ合わせ完璧にスタンバイしてたのだが、Drumsellが声をかけてくれ、音をフェードアウトしていったので、一度音を切ったのであった。
あまりクラブイベントで前の人からの流れを断ち切り、音を止めるという経験が無かったのだが、ゲストDJの場合良いのかもしれない。
一度音を切る事により、Drumsellの世界観が完結され、そして素晴らしい余韻が残る。
皆は拍手し、最前列のテクノフリーク達はDrumsellに握手を求めた。
僕は繋ぐつもりだったので、オープニングの曲としてはまぬけな重厚なハードめなテクノからスタートしてしまったが、もうフロアの人たちはハードめなテクノには疲れきってたように思えたので、(僕自身も)そこからは当初予定していたDEEPな流れで展開していった。
この日の僕のDJブースのミキサーは、オーダーしていたA&HのXone92では無かったが、使い慣れたパイオニアのDJM-900Nexus 2で、エフェクターも使う事が出来た。
A&H Xone92は自宅でも使用しているが、EQがHi, HI-Mid, Low-Mid, Lowと4つあり、特にロングミックス時のミキシングがやりやすく、自分の求めてる音が出せるので好きだ。
レコード針は持参した樽屋の針で、通称「白針」。
重低音がものすごいブース内でも、針飛びは一切おこさないので優秀な針である。
モニター環境では、ミキサーの特徴かモニタースピーカーの問題か、かなり硬めで耳につく高音が気になる。
本来はイベント開始前にリハーサルをすべきだが、仕事だったので仕方ない。
後で、来てくれていた友人にフロアの出音の感想を聴いたが、音割れも無く高音も適切だったということで安心した。
さて、そうしてDEEPな流れで進行していく訳だが、テクノというジャンルには実に様々なサブジャンルが存在している。
ダブテクノ、ミニマルテクノ、エクスペリメンタルテクノ、ディープテック、ロウテクノ、などなどあげだしたらキリがないが、そういうジャンルにとらわれる必要は無い。
自分が求めてる空間に持っていける音をかければ良いだけだ。
DJには大きく分けて2種類のDJがいると思う。
お客さんが求めてる音を敏感に察知し、お客さんの求めに応じていくタイプのDJと、お客さんが求めてる音も意識しつつ、自分が作りたい空間を作っていくタイプ。
僕はテクノの場合、完全に後者だ。
僕のテクノは皆が笑顔になるようなパーティーミュージックではない、よりアートに近いものだと思う。
音によりフロアの空気を変えていく、音に支配された特殊な空間に仕上げていく。
人それぞれだと思うが、己の内なる精神と向き合うような体験はアートといっていい。
もちろんDJである以上、自分の世界観ばかり追求するわけにはいかない。
DJはお客さんが踊ってくれて、または聴いてくれなければ成立しない。
ずっと同じ感じでは飽きてしまうし、展開や流れも考えながらプレイしなくてはならない。
そういう点では、DJが作る流れの事を、しばしばサウンドジャーニーと表現したりするが、これはとても良い表現だ。
そして定刻が近づく。
きちんと、この日のイベントをクローズさせるべく、音の旅は終着点に向かい進行していく。
僕はラストの曲にはこだわりがある、そして終わり方も。
流れ的にまだラストの曲には向かうことができなかったので、定刻は過ぎたが一曲追加する。
そしてその流れからラストの曲を流し、その日のイベントは終了した。
帰り道、イベントに来てくれた友人から聞いたのだが、隣でずっと踊っていた外国の方が、イベントが終わった瞬間にセラヴィーと言ったそうだ。
意味は分からないが、ずっと踊ってたらしいので、きっとサウンドジャーニーを楽しんでくれたのだと思う。